寝る子は育つ!
睡眠の大切さとのどか保育園の工夫
毎日当たり前のようにとっている睡眠。実はとっても大切なものです。それは子どもにとっても例外ではありません。そこで今回は、子どもの心と身体の育ちに欠かせない睡眠についてお話ししたいと思います。
日本の子どもの睡眠時間は短い!?
皆さんは日本人の睡眠時間が世界の国々と比べて少ないことをご存じでしょうか?
実際に、38ヶ国が加盟しているOECD(経済協力開発機構)が2021年に調査した日本人の平均睡眠時間は、7時間22分でした。OECDの平均は8時間28分。なんと、日本人の睡眠時間はOECD加盟国の中で最も少なかったのです。(※出典1)このことから、日本は睡眠不足大国といわれています。
その影響もあってか、日本の子どもの睡眠時間も短くなっています。例えば、幼児(1~2歳児)の推奨睡眠時間は11~14時間、就学前児(3~5歳児)では10~13時間とされているのに対し、日本小児保健協会や研究による日本の子どもの平均睡眠時間は、1歳児で9.6時間、3歳児で9.8時間と全体的に短くなっているのです。(※出典2)
子どもの睡眠はなぜ大切?
乳幼児期は、1日24時間という体内時計を確立する時期。月齢や年齢によって必要な睡眠時間や間隔、回数が異なりますが、適切な睡眠時間を確保することで、この体内時計が確立しやすくなります。
記憶の整理・固定
人間は、日中に得た知識や経験を、睡眠をとることで整理し、定着させています。さらに、ノンレム睡眠(深い眠り)には、嫌な記憶を消去する働きがあり、レム睡眠(浅い眠り)には手続き記憶(自転車の乗り方やスポーツの技術を身につけること)を固定する働きがあります。(※出典3)
これらの作用は、毎日新しいことに遭遇する子どもにとって大変重要なものなのです。
ホルモンや神経伝達物質の分泌
◆メラトニン
「睡眠ホルモン」とも呼ばれているホルモンです。暗くなると分泌され、昼と夜のリズムをつくっているため、分泌が盛んになると規則正しい生活が送れるようになります。(※出典4)
そのほか、メラトニンには睡眠の質を向上させる作用や、抗酸化作用、抗炎症作用があり、不足するとアレルギー疾患を引き起こすことがあります。
◆成長ホルモン
子どもの成長に欠かせないホルモンで、骨や筋肉、各臓器を成長・発達させる働きがあります。よく耳にする「寝る子は育つ」というのは本当のことなのです。また、思春期の性的な成熟、成人期の代謝調節といった働きもあり、成長ホルモンは生涯必要とされるホルモンといえるでしょう。(※出典5)
◆セロトニン
「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンは、感情をコントロールする作用のある神経伝達物質です。朝、寝起きに日光を浴びたり適度な運動をすることで分泌され、減少すると気分の落ち込みや抑うつ状態を引き起こします。多ければ多いほどいいかというとそうでもなく、多すぎるとキレやすく暴力的になるといわれています。(※出典2)
意志力の回復
意志力とは、自分の感情や欲望をコントロールして物事を実行し、目的を達成する力のこと。この意志力は、規則正しい睡眠によって回復すると言われています。睡眠不足だと脳はエネルギー不足になり、脳の各領域の連携がスムーズに行われず、自制心が働きにくくなり、意志力も低下してしまいます。そうならないためにも早寝を心がけ、十分な睡眠をとりましょう。(※出典6)
快適な睡眠を!のどか保育園での工夫
睡眠に適した環境づくり
子ども達が寝る部屋は明かりを消し、安全が確認できる程度の適度な暗さ(60ルクス以上)にしています。リラックスして寝付けるようにオルゴールの音楽も流しています。
事故を防ぐ!午睡チェック
睡眠中の窒息等の事故を防ぐため、5~10分おきに睡眠中の体勢や呼吸状態、皮膚状態のチェックをしています。この時、うつ伏せ寝になっている子は体勢を戻して仰向けにし、安全を確保しています。
季節を問わず快適♪コットを使用
のどか保育園では、午睡時にコットを使用しています。コットとは、床から10cmほどの高さのある簡易ベッド。床に直接布団を敷かないことで、睡眠時のホコリの吸い込みやアレルゲンとなるダニなどの繁殖を防ぐことができます。また、冬の床からの冷気も遮断してくれます。専用のシーツの下はネット上になっているため通気性も良く、季節を問わず快適に眠ることができます。
書籍紹介
誰もが優秀児になれる!
CRAYONプロジェクトの実証
睡眠についてや、弊社紬の取り組みも掲載されています。
保護者の方、保育者の方、子どもに関わるすべての方に是非読んでいただきたい1冊です!
【出典】
1:朝日新聞DIGITAL「日本人は睡眠不足 女性の4割が睡眠6時間未満 先進国で最下位」https://www.asahi.com/articles/ASR916HG9R91UTIL033.html(参照2024-04-30)
2:韓昌完(2023年)『誰もが優秀児になれる!CRAYONプロジェクトの実証』さくら舎
3:甲南大学「第1回「睡眠と記憶について/基本的な睡眠とは」https://www.konan-u.ac.jp/special/vol_1.htmlhttps://www.asahi.com/articles/ASR916HG9R91UTIL033.html(参照2024-04-30)
4:阪野クリニック「メラトニンによる睡眠障害の対策」https://banno-clinic.biz/melatonin-sleep/https://www.asahi.com/articles/ASR916HG9R91UTIL033.html(参照2024-4-30)
5:nordicare®AGHD「成長ホルモンのはたらき」https://www.nordicare-aghd.jp/about/growth/working.html(参照2024-04-30)
6:中内玲子(2020年)『シリコンバレー式 世界一の子育て』フローラル出版